ー足場工事の設置基準をやさしく解説|現場で迷わないチェックポイントー
足場工事の設置基準とは?
建築や塗装、解体などで足場を組むときは、作業者の墜落や資材の落下を防ぐために明確な設置基準があります。基本は「高所で作業する人を確実に守ること」と「周囲の第三者に危害を及ぼさないこと」。そのために、足場の種類・高さ・荷重条件に応じて、手すりや幅木、筋かい、控え、アンカー、昇降設備などを適切に設ける必要があります。現場の都合で“とりあえず”組むのではなく、計画→設置→点検→使用の各段階で基準を満たしているかを確認する姿勢が欠かせません。
対象となる工事・高さの基準
一般に高所作業は高さ2m以上で安全措置が求められ、足場については原則として高さ5m以上で組立・解体・変更時の作業主任者の選任や、先行手すり方式などの墜落防止措置が必要になります。2m未満でも転落リスクが高い場所では、簡易足場や作業床の設置、手すりの確保が推奨されます。
労働安全衛生法と安衛則のポイント
足場は労働安全衛生法および労働安全衛生規則で詳細に定められています。代表的なポイントは、①作業床の幅は原則40cm以上、主作業では60cm以上を確保、②手すりは高さ85cm以上(上さん)と中さんを設置、③幅木は10cm以上、④荷重条件に応じた支柱間隔・筋かい配置、⑤組立・解体は計画書に基づき有資格者が指揮、の5点です。地方自治体の要綱や現場ルールが追加されるケースもあるため、事前確認が重要です。
足場の基準は「種類により要求が異なる」ことがポイントです。同じ高さでも、枠組足場と単管足場では必要な控えや筋かいの取り方が違います。ここからは代表的な足場ごとに、現場で押さえるべき実務の勘所を整理します。
足場の種類別に求められる要件
枠組足場の基準
最も普及している枠組足場は、建枠・ジャッキ・ブレス(筋かい)・布板・手すりなどの規格部材で構成されます。設置基準では、支柱の建地間隔や布わく間隔、ブレスの連続配置、先行手すりの使用、作業床の開口部養生が重要です。外周には原則二段手すりと中さん、内側は必要に応じて内手すりを追加。建地の沈下・浮き上がり防止として、ジャッキベースは安定した地盤上に敷板を併用し、沈下が予想される場合は鋼製敷板やベースプレートを使います。外壁へのアンカーは垂直・水平方向のピッチを設計荷重に合わせて計画し、控え不足にならないようにします。
くさび緊結式足場の基準
低層から中層の現場で多用されるくさび緊結式は、軽量でスピーディに組める一方、部材の嵌合不良や緊結ピンの未挿入が事故につながりやすい足場です。設置時は、支柱の通り・垂直・水平をこまめに確認し、作業床は隙間・段差を最小化。手すり先行のユニットや先行枠を活用して、組立時の墜落を防ぎます。壁つなぎ(アンカー)は、外力の流れを考えて上下左右にバランスよく配置し、コーナー部はとくに強化します。
単管足場の注意点
単管足場は自由度が高い反面、強度は接続金具の品質と締め付け管理に大きく左右されます。作業床幅の確保、手すり高さ、布材のたわみ、筋かいの連続性、ベースの沈下対策など、基準値を一つずつ満たしているかを点検表で確認しましょう。材料の再使用では、曲がり・錆・摩耗が基準外になっていないかの選別が不可欠です。
足場の形式ごとの注意を押さえたら、次は「人が安全に使い続けられる状態」を保つための設備と点検の基準に目を向けます。設置直後だけでなく、強風・地震・豪雨の後や使用中の改造時に基準を満たしているかを確認し、早期に是正する体制づくりが重要です。
安全設備と点検の基準
幅木・手すり・中さんの設置
墜落・落下対策の三種の神器が、手すり(上さん)・中さん・幅木です。外周は原則二段手すり、中さんを設け、資材の滑落を防ぐために高さ10cm以上の幅木を取り付けます。隙間が生じるコーナーや開口部は、養生ネットやメッシュシートを併用。手すりの強度は人が寄りかかっても変形しないことが前提で、仮固定のまま使用しないのが鉄則です。
昇降設備と開口部養生
はしごや階段ユニットは、傾斜角度・踏ざん幅・固定方法が基準に合致しているかを確認します。作業床の開口部は、フタやチェーン、パネルで確実に閉鎖し、開けたままにしない運用ルールを徹底。荷上げ口は、戸先錠や開閉バー、立入管理で第三者の転落・接触を防止します。
安全設備を満たすだけでなく、日常点検と定期点検を仕組み化して“基準を守り続ける現場”にすることが成果を左右します。点検は誰が・いつ・何を・どう判断するかを定義し、写真とチェックリストで記録を残すことで、属人化を防ぎます。
設置計画と書類整備
配置計画と強風・地震対策
足場の配置計画では、建物形状、搬入経路、電線・隣地・通行帯との離隔、仮囲いとの取り合いを整理します。風荷重・地震時の水平力に耐えるよう、アンカーや控えのピッチ、ブレスの連続性を計算根拠とともに提示。仮設計画図には、基礎の敷板仕様、養生シートの面積、荷上げ装置の位置、避難経路も盛り込みます。
作業手順書・特別教育
組立・解体・変更の各作業は、手順書と合図系統を明確にし、作業主任者がリスクアセスメントを実施します。5m以上や一定条件を満たす場合は特別教育・技能講習の受講が前提で、未受講者を作業させないラインを引くことが重要です。近隣説明や交通誘導計画、第三者災害の想定も、書類で説明できるようにしておきましょう。
書類を整える目的は「現場を止めないため」です。監督署の臨検や元請の安全パトロールが入っても、計画と現地が一致していれば即時に是正不要。逆に齟齬があれば、作業中断や追加費用につながります。だからこそ、現場事務所で常に最新版を閲覧できる仕組みが効きます。
よくある不適合と是正のコツ
アンカーと控えの不足
外壁のアンカー位置が偏っていたり、控えが省略されていると、強風時に足場が揺さぶられ全体が不安定になります。設計ピッチどおりに取り付けたうえで、コーナー部や大開口部、セットバック部など負担の大きい箇所は増し打ちを検討。サッシや外装の仕上がりに影響しないよう、アンカー種別や撤去後の補修方法も事前に合意しておきます。
先行手すり未使用
組立・解体時の事故で多いのが、作業床が未完成の段での墜落です。先行手すりや親綱の使用を前提に手順を組み、使用部材は現場で容易に取り出せる配置に。工程短縮のための“省略”を防ぐには、着工前ミーティングで責任分担とチェックポイントを共有し、毎日のKYで再確認することが有効です。
最後に、足場工事の設置基準は「法令に適合しているか」だけでなく、「現場条件に最適化されているか」で評価が変わります。建物の形状、周辺環境、工期、天候、同時作業の有無に応じて基準を上乗せする判断が、安全と生産性の両立につながります。迷ったら計画に立ち返り、根拠をもって是正し続けることが、事故ゼロと品質確保の最短ルートです。
福井県敦賀市で足場工事を請け負う株式会社Y-TRUSTです。当社は一緒に働く仲間を募集しております。 未経験からでも少しずつ学んでいくことで、一人前の職人を目指せます。楽しい雰囲気とストイックな仕事のメリハリをつけて働きたい方はぜひご応募ください。
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