建設現場の大切な作業場所として機能する足場ですが、屋外作業向けに設置されるものであり、雨天時にはどのように扱われるのか気になりますよね。

 

雨の日も足場工事は実施するのでしょうか。この記事では天候に左右されやすい足場に注目します。作業時の注意点もあわせて紹介しますので、ぜひご一読ください。

 

雨天時の足場工事はどうなる？作業はするの？

建設現場において外装に当たる部分を工事する場合、基本的に屋外作業に従事することになります。例として、外壁材の塗装工事や屋根工事などです。

 

建物が平屋建てなら足場は不要ですが、2階以上の建物なら塗装も屋根も手が届かない場所にあるため、足場が無ければ作業ができません。ムラなく作業をするためにも、必ず足場を設置することになります。

 

しかし、屋外に設置するからこそ足場は天候に左右されやすいという弱点があります。足場自体は丈夫な鋼管で作りますが、組立作業は人の手で行うため、雨天時にはどうなるか気になりますよね。

 

まず、結論からいうと雨天時でも足場工事は実施しています。梅雨時期も同様です。

 

雨天時の足場工事の注意点

足場が必要になる現場は、足場の設置後に別の作業日程が組まれています。例として、塗装工事の場合は足場工事が完了後に塗装の作業に入るため、足場の完成を待ちわびている状態です。

 

つまり、天候によって足場設置が遅れてしまうと、メイン作業である塗装工事も遅れてしまいます。そのため、少量の雨天程度なら足場工事は滞りなく実施されます。しかし、豪雨の場合は足元が不安定になるため、見送っています。

 

足場自体は塗料のように乾かす必要がある工事ではありません。多少の風でも実施します。

 

労働安全衛生規則のルール

足場工事は上記のとおり雨天でも実施していますが、それでも荒天時には実施を躊躇います。「このような天気の中で足場工事を実施しても良いのだろうか」と悩んだら、まずは労働安全衛生規則を読んでみましょう。

 

きちんと設置時の天候に関するルールが決められています。労働安全衛生規則では、以下のルールが決められています。

 

・強風、大雨、大雪などの悪天候時は作業を中止する

 

足場は大雨も危険ですが、台風や突風などに弱い側面があるため、組立は強風時には避けるように指導されています。でも、具体的にどの程度の風が目安となるかわからないですよね。

 

強風とは毎秒10メートル以上の風が10分間以上あることが前提です。台風などの強風が迫っている場合には基本的に設置は延ばします。悪天候時の無理な足場工事は倒壊のリスクや作業者の墜落リスクが高まってしまいます。

 

工期が迫っている現場では無理な判断をしてしまいがちですが、慎重に判断したうえで工期を決めるようにしましょう。

 

雨天時の足場上の作業は慎重に

少量の雨なら足場工事は実施されていますが、作業を行う場合には現場で知っておきたい注意点があります。その注意点とは、「滑ること」です。足場の上に雨水が滞留してしまうと、どうしても作業中に滑りやすくなります。

 

特に資材を持って移動していると、手元に意識が集中しがちです。そこで、作業者の靴は滑り止めがしっかりと効いたものを使いましょう。滑り止めを使用することで、足場上の安全性を確保することができます。

 

また、足場以外にも、はしごや手すりもいつも以上に滑りやすくなっているのでご注意ください。

 

アンチ（作業床）には基本的に穴が開いており、雨水が滞留しないように工夫されていますが、それでもつるんと滑ってしまうリスクがあります。

 

加えて、雨天時は作業者が合羽を着ていることが多く、いつもよりも作業動作が制限を受けることも多く、バランスを崩しやすくなります。

 

雨天時の足場工事はいつも以上に慎重に行う必要があるのです。

 

足場工事の現場管理者における注意点

作業員の安全管理を徹底する必要がある雨天の作業時には、現場管理者の立場からも安全管理を徹底することが重要です。足場作業は雨天時ならいつもよりリスクが増す高所作業であり、作業員が墜落するなどの事故が発生する可能性があります。

 

そのため、安全帯やヘルメット、安全靴などの必要な装備の着用をいつも以上に徹底確認しましょう。また、作業員の体調管理も重要であり、体調が悪くなった場合には、休憩をとるように指示することが必要です。

 

雨天時は作業が疲れやすいため、いつもよりコマ切れに休憩を取ることも検討しましょう。作業員は独断で工事日程の変更ができません。雨天時には、作業予定を現場管理者が判断して柔軟に変更することが必要です。

 

作業効率が落ちたり、危険な状況になることも踏まえると、思いきって翌日の作業にすることも検討の余地があるでしょう。

 

足場工事の意外な盲点？雨天後の作業は汚れに注意

足場工事が行われるのは、いつも平坦なコンクリートの上なわけではありません。土の上に足場を組むことも多く、傾斜が激しい場所に調整しながら組み立てを行う現場もあります。

 

そこで、意外な盲点があります。雨天後の作業は、「汚れ」に注目すべきという点です。

 

雨天後はぬかるみに注意を

雨天後は土がぬかるんでいることがあり、作業をいつも通り遂行するとアンチや階段などが土で汚れてしまう場合があります。

 

簡単な汚れなら問題ありませんが、ぬかるんだ土がべっとりと足場内に付着してしまうと、雨でもないのに滑ってしまうリスクが増します。この場合、汚れ防止のためにゴム状のマットなどを敷くことがおすすめです。

 

ぬかるんだ土はアンチの穴を埋めてしまうリスクもあるため、作業に取り掛かる前には作業員の靴の汚れに十分注意しましょう。また、作業者が土の多い現場を闊歩する場合、施工主の方や近隣の方の土地に足跡を残してしまうリスクもあります。

 

養生の対象外の場所であっても、ブルーシートなどを使って適切な汚れ対策を行うことも重要です。このように、雨天における足場工事は雨天時だけを注意するのではなく、雨天後にも注意を払う必要があります。

 

ぜひ本記事をきっかけに、汚れ対策にも今一度関心を向けてみましょう。

 

まとめ

この記事では雨天時の足場工事の有無や注意点について、分かりやすく解説しました。基本的に少量の雨なら気にせず工事を行うものですが、労働安全衛生規則にある通り、強風などの事態は避ける必要があります。

 

加えて、雨天後も足場工事にはリスクが残されています。作業員の安全を常に心がけ、トラブルのない足場工事を目指しましょう。