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ー雨でも足場組立はできる?判断基準と安全対策ー

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屋外で行われる足場の組立は、天候による影響を避けられません。雨が降ると滑りやすくなり、晴天時に比べて高所での作業がより危険になります。

 

そこで、雨天時に足場の組立や解体作業を行うかどうか、どのような対処をするのかについて、法律などの客観的な基準を用いて解説します。

 

雨天時に足場組立は実施できるのか

雨が降っているなかでの足場の組立や解体は、現場管理者の裁量に委ねられています。

軽微な降雨であれば、作業を進行させ、計画通りにプロジェクトを進めるケースもあります。

 

とはいえ、雨天作業は晴天時と比較して事故などのリスクが高いです。

足場が滑りやすくなるだけでなく、雨具を身につけることで視界が制限され、動作の自由度も低下します。

作業効率が低下するからといって安全対策を怠ってはいけません。雨天用の特別な対策を施し、慎重に作業することが大切です。

 

一方で、労働安全衛生規則によって定義された「悪天候」の条件に当てはまる場合、作業の中断が義務付けられます。

悪天候の基準は、作業員の安全を最優先するために設けられています。

悪天候による作業中断はプロジェクトの遅延を招く可能性がありますが、足場作業に携わるすべての職人の安全を確保することが最も重要です。

 

作業を早く進めるために悪天候時に無理に作業して事故が起きると、より多くの手間やコストがかかるだけでなく、職人の命を奪ってしまうおそれもあります。

建築現場では常に安全第一の姿勢を持ち、状況に合わせて臨機応変に対応しましょう。

 

降雨量についての労働安全衛生規則

労働安全衛生規則によれば、一度の降雨で50mm以上の雨が降った場合、足場の組立やその他の建設作業を行ってはいけないと規定されています。

 

降雨量が50mmを超えると、徒歩や自転車の移動が困難な状態になります。また、地形によっては川の氾濫や土砂災害が発生するリスクが高まる降雨量です。

 

足場組立を中断すべき雨以外の条件

労働安全衛生規則は、大雨のほかに強風・暴風・大雪・震度4以上の地震が発生した場合にも、作業を停止するように求めています。

これらの基準は足場工事に限らず、建設工事全般に適用されます。

 

強風・暴風

「強風」は、10分間の平均風速が10m/s以上である、歩行が難しくなるほどの風を指します。

瞬間風速が30m/sを超えると「暴風」になります。暴風時はトラックが転倒するほどの危険があり、屋外作業はとうてい行えません。

 

雨が降っていなくても基準値以上の風がふいている場合は、作業を中断しましょう。

 

大雪

一回の降雪で25cmを超えると「大雪」と呼ばれます。大雪は、豪雪地帯でも日常生活に支障をきたすほどの降雪量です。

積雪が少ない地域では、より少量の雪でも交通の混乱を招きます。

 

震度4以上の地震

震度4以上の地震は、「中震」に分類され、家具が倒れるなどの被害が発生する可能性があります。

地震は予測不可能なため、常に安全対策を施しておくことが重要です。

 

悪天候下での足場組立に対する労働安全衛生規則

悪天候の基準は前述の通りです。労働安全衛生法では、足場組立などの作業について、どのような規制が設けられているのでしょうか。

 

【安全衛生規則 第522条】2m以上の高さでの作業

作業場が地上から2m以上の高さにあり、強風・豪雨・大雪などの悪天候下にある場合は、事故リスクが非常に高くなります。

そのため事業者は、その環境下で従業員を作業させてはいけません。

 

【安全衛生規則 第564条の3】2m以上の高さでの足場組立・解体・変更

吊り足場・張り出し足場・高さ2mを超える足場における組立・解体・変更を行う際に、強風・豪雨・大雪などの悪天候下にある場合、事業者は作業を中断しなければなりません。

 

悪天候後の足場点検義務

悪天候や中震以上の地震が発生した後、事業者は作業を再開する前に足場の点検を行う義務があります。

点検の結果、異常が見られた場合は、ただちに修復作業を行う必要があります。

 

悪天候後の足場点検項目

悪天候後に実施する足場点検の主な項目は以下の通りです。

 

1.床材の損傷や取り付け状態
2.支持体・布・腕木などの接合部の緩み
3.緊結部・緊結金具の損傷や腐食
4.交差筋交い・幅木・手すりなどの取り外しや脱落
5.幅木などの設置状態
6.脚部の沈下や滑り
7.筋交いや壁などの補強材の状態
8.布・腕木などの損傷
9.吊り金具や安全設備の状態

 

足場の点検は誰が行う?

足場の点検は、以下のような専門知識と経験を備えた人が行うべきとされています。

 

・足場組立の主任者であり、「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」を受講済みの人
・労働安全コンサルタント(土木または建築の試験区分)や、労働安全衛生法第88条にもとづく足場設置などの届け出に関する「計画作成参画者」
・全国仮設安全事業協同組合による「仮設安全監理者資格取得講習」を受講済みの人
・建設業労働災害防止協会が提供する「施工管理者等のための足場点検実務研修」を修了した人

 

2023年10月から足場点検者の指名が義務化

2023年10月より、事業者は足場の点検を実施する際に、点検者を明確に指名することが法律により義務付けられています。

 

点検者の指名方法について、厚生労働省は以下の手段を提案しています

 

・文書による通知
・朝礼などの場での口頭による通知
・メールや電話などの通信手段による通知
・事前に点検者の順番を定め、その順に通知する

 

どの通知方法を選択するにしても、「点検者が自身の役割を認識し、責任を持って点検を実施できるような方法」である必要があります。

 

点検・補修の記録は保存する

点検表に点検者の氏名や点検・補修の結果を記録し、足場作業が完了するまで保管することが義務付けられています。

点検記録の管理義務を怠った場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります。

 

まとめ

雨天における足場組立・解体は、降雨量が少ない場合に限り行われますが、小雨であってもリスクは増加します。そのため、足場作業には慎重な安全対策が求められます。

また、悪天候が過ぎ去った後は、事業者が点検を行い、その記録を適切に保管することが重要です。

 

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